　「今日の空って　こんなにも青かったんだ・・・」

　忙しい日常　駆け足で過ぎていく時間の中で　そんな純粋な気持ちを忘れていた
幼い頃　いつだって空を見上げ　幾つもの夢を描いては　後を追いかけていた
今も浮かぶ友の優しい笑顔　熱き思い　そして汗まみれと泥だらけの日々
　すべてが輝いていた

　それがいつからか　知らないうちに自分が変わっていく　
年を重ねるたびに　薄汚れていく気持ち　人を信じる大切さを失っていった
追いつけない夢をひとつずつ諦めては　言い訳ばかりしていた自分
いつしか涙を流すことを恥と考えるようになっていた

　魂を隠して　何食わぬ顔で乗り切ってきただけの毎日　
凍えそうな心で自分に自信をなくし　逃げてばかり
どうにもならないと自分に言い聞かせていただけ
やるせない想い　その葛藤の中で　戸惑う心

　一番なりたくなかった大人に　自分がなろうとしていたことに気づいた

　
　だけど久しぶりに訪れた海が　昔の自分を取り戻してくれた　
忘れかけていた何かを教えてくれた　
少年時代の純粋な心　あどけない笑顔　夢見ることの大切さ　
そんな純情を思い出させてくれた

　風の囁き　ほとばしる波　潮の香り　照りつける太陽　光る海　
あの日見た空の青さと横たわる大海原　そして傷だらけの心をそっと癒す潮騒

　人は変わっても　海は永遠に変わらない　人は裏切っても　海は人を裏切らない

　なくした夢のかけらを拾い集め　組み立てなおすジグソー
あの日に帰って砂浜で　波が消し去った少年時代の足跡を探してみよう
　ようやく気づいた本当に大切なもの　そして生きることの意味

　もう一度見上げてみよう　昔見たあの空

　「明日の空も　きっと青いはず・・・」

　そして少年時代の自分に胸を張って伝えよう
　「今でも君と同じ夢を追いかけているから　心配いらないよ・・・」

　やっと今　心からそう言える気がする　　　　　